瀬戸内の地域ではオリーブやみかんなど、温暖な気候を活かした作物がたくさん栽培されています。
今回ご紹介する「ひなせレモン」もその一つですが、生産量はほんのわずか。
出会えたらラッキーともいえる幻の果実の魅力をお届けします。
目次
市場ではほとんど見かけない希少な「ひなせレモン」
ひなせレモンは、その名の通り岡山県は日生(ひなせ)市で栽培されるレモンです。
流通量が少ないため、名前にはあまり耳馴染みがないかもしれません。
主に岡山県日生市の島しょ部で栽培
日本でのレモン栽培は、広島の島しょ部や和歌山、愛媛で盛んに行われています。
みかんと栽培条件が似ているため、みかん農家さんが兼業でレモンの栽培を行うケースも多いようです。
ひなせレモンが栽培される岡山県日生市も、みかんの栽培で有名な場所です。
瀬戸内の温暖な気候は、みかんやレモンの栽培に適しているんですね。
取材をしたところ、ひなせレモンを作っている方は全員、みかん農家との兼業をしていると聞きました。
出荷の規模を考えると、副業のようなイメージみたいです。
ひなせレモンの旬は11月〜12月。
旬を過ぎても出荷自体は3月くらいまで続いているそうです。
JAに出荷しているのは一農家のみ
岡山県の農協、「JA晴れの国岡山」の方にお話をうかがう機会があったので、ひなせレモンについて質問してみました。
お話を聞いたところによると、ひなせレモンは全国には出回っておらず、主に岡山県で消費されているということでした。
それもそのはず、JAに出荷をしている農家はたった1軒のみだそうです。
栽培自体はいくつかの農家さんで行われているようですが、みかん狩りに来た観光客に対して1個売りをする程度にとどまっているようでした。
ちなみに、JAに出荷されたレモンは「JA晴れの国岡山 アグリびぜん」で購入可能だそうです。
時期や生産状況により、在庫状況は変わります。
見かけたらラッキーかもしれません。
みかんの島「鴻島」でひなせレモンを発見!
私がひなせレモンに出会ったのは、瀬戸内海に浮かぶ鴻島(こうじま)を訪れた際でした。
お話を聞くことができたみかん農家の方が、偶然ひなせレモンを出荷している方だったのです。
事前の調査でも、ひなせレモンに関する内容はどこにも載っていなかったので、私はここでひなせレモンの存在を知ることになります。
みかん生産のかたわらレモンの栽培も
鴻島での上陸レポートは別の記事で公開するので割愛し、レモン農家さんのお話のみピックアップします。
今回お話を聞かせていただいた方は、鴻島でみかん農家として主にみかんの栽培を行うかたわら、余ったスペースでレモン栽培をしているとおっしゃっていました。
3月に訪れたので、「もう良いレモンは残ってないよ」とおっしゃっていましたが、積まれた箱の中には黄色く輝く綺麗な果実がたくさん詰まっていました。
生産者の方にお話をうかがいました
ひなせレモンは通常のレモンと比較すると、甘みが強めなんだそうです。
「島の南側だと海風がたくさん当たるから、レモンもみかんも甘くなるんだ」と教えてくださいました。
今回、特別に廃棄予定のレモンをいただいたので、持ち帰って味わうことにしました。
田口農園さん、ありがとうございました。
気になるお味は…?
いただいたレモンを味わうことを楽しみに帰宅しました。
大きなキズなどはなく、廃棄予定とは思えないほど綺麗なレモンでした。
実際に食した感想をここで語らせてください。
ふんわり広がるやわらかな酸味
せっかくいただいたレモンをどうやって味わおうと考えていましたが、正直私はそこまで料理が得意ではありません。
鶏肉を焼いて塩で味付けし、そこにレモンをかけるという原始的な料理しか思いつきませんでした…。
シンプルな料理だとレモンの味も分かりやすいだろうと前向きに捉え、レモンに切り込みを入れます。キッチンを満たすやわらかなにおいに、期待がふくらんでいきます。
よく焼いた鶏のもも肉に塩をかけ、ひなせレモンを多めにぎゅっと。
爽やかな香りが鼻の奥をくすぐります。
最初の一口を頬張ると、まず広がるのがレモンのふんわりとした酸味。
いつも食べているレモンよりも数段「甘い」ように感じました。
レモンなので糖のような甘さはないのですが、たしかに「甘い」のです。
料理の味を邪魔しない、やさしい味わいでした。
試しにそのままかじりついてみましたが、歯がキシキシするような酸味は全くありませんでした。
あとから広がる鶏肉の味わいと合わせ、最後までハーモニーを堪能します。
食べるのに夢中で料理の写真は撮れていません。すみません…。
こんな料理に合うかも…
今回、鶏肉のステーキという非常にシンプルな料理で味わいましたが、他にもこのレモンの良さを活かすことができる料理があると思います。
通常のレモンと比較すると酸味がマイルドなので、レモンをそのまま食べるような料理に合うのかもしれません。
例えばレモンパイやマリネなどでしょうか?
料理が得意な方であれば活用法は無限大かもしれません。
見かけたらラッキー!是非手に取ってみてください
私がこれまで食べたレモンの中で一番甘かったのがこの「ひなせレモン」でした。
なかなかお目にかかることはないかもしれませんが、見かけたらぜひ味わってみてほしいです。
私も旬の時期にリピートしようと思っています。
「はなれじまトラベル」では、今後も離島に関する情報を更新していきます。
ぜひ旅に出る前にチェックしてみてください。